自己破産申立て後も自動車は使えるのでしょうか?
自己破産申立て後も自動車は使えるのでしょうか?
次のような事例を考えてみましょう。
現在、私は多額の借金を負っています。
とても返済できる額ではないので、家族と相談した結果、自己破産して一からやり直すことになりました。
しかし、破産手続について調べてみると、破産者の持っている財産はすべて競売されて、債権者に配当されると聞きます。
また、その後、金融機関からの借入れもできなくなるとのことなので、その後の生活が不安です。
カードが使える今のうちに当座の生活に必要なものを買いそろえておこうかと思いますが可能でしょうか。
また、私の愛車はもう10年以上も乗り回していますが、処分されて換金されてしまう運命なのでしょうか。
処分して換金が原則
確かに、破産手続が開始されると、債務者の財産は競売などによって換金されて、各債権者の債権額に従って配当されるのが原則です。
また、金融機関のいわゆるブラックリストに載るため、数年間は正規の金融機関からは借り入れをすることができなくなります。
しかし、だからといって破産手続開始の申立ての直前に新たな借金をすることは、返済できないことを承知で借金することになりますから、詐欺罪になります。
破産手続が一切終了して免責も受けられれば、その後にあなたが得る収入は、あなたが自由に処分することができるものです。
そこから先なら、あなたが頑張ってどれだけの財産を築いても、かつての債権者はその財産に手を出すことはできません。
破産を考えると多大な不安を感じるとは思いますが、詐欺罪にあたるようなことをすると、免責も受けられないので絶対に行わないようにして下さい。
自動車のローンが残っている場合
自動車については、ローンが組まれていることが多いとか、減価償却が比較的速く換価しにくいといった特殊性があります。
そのため、扱いが異なってきます。
まず、債務者の保有する自動車のローンが、まだ残っているケースから考えます。
自動車をローンで購入すると、通常は、自動車の所有権はローン会社に留保されます。
そのため、破産手続開始が決定されると通常、ローン会社は契約約款に従って自動車を引き上げていきます。
自動車のローンが完済している場合
次に、すでに自動車のローンを支払い終わっているケースを考えます。
ローンが終了しているので、自動車の所有権は債務者にあります。
そのため、破産管財人は自動車を処分して換価することができます。
ただ、自動車がかなり乗り回されていて、処分しても大した価格にならないこともあります。
そのような場合は、処分の対象とはされずに債務者はそのまま自動車を保有することができます。
上記のケースでは、10年以上も愛車を乗り回しているので、そのまま利用できる可能性があります。