裁判所で手続をすれば、自宅を失うことなく、借金を減額してもらえると聞きました。具体的にはどのような手続ですか?
そのような手続を民事再生手続といい、個人向けのものとして小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。
「小規模個人再生」は、原則として、一定の債権者の同意を得て、借金の総額に応じて定められた最低弁済額を3年間で返済すれば、残りの借金の支払が免除される制度です。
個人の多重債務者のうち、「将来において継続的に反復して収入を得る見込みがあり」、かつ「住宅ローン等を除いた債務の総額が5,000万円を超えない」場合に利用することができます。
「給与所得者等再生」は、小規模個人再生が利用可能な債務者のうち給与など継続的で安定した収入のある多重債務者が、借金の総額に応じて定められた最低弁済額と可処分所得(実収入から、社会保険料や税金等の経費を差し引いた残りの所得)の2年分の金額とを比較して多い方の金額を返済すれば、債権者の同意を要することなく、当然に債務の減額を認めてもらえる手続です。
民事再生手続では、一定の要件を満たす場合に、住宅ローン(リフォームローンも含みます。)の返済を別枠として扱うことにより、住宅を残すことができる制度(住宅資金貸付債権に関する特則)が用意されています。
この制度では、金融機関との話合いにより、住宅ローンの返済方法を変更することができます。
ただし、住宅ローン残高の減額は認められません。
住宅資金貸付債権に関する特則は、次のような場合に利用することができます。
① 住宅ローンで建設または購入等した自宅土地、建物であり、現実に居住していること
② 住宅ローン関係の抵当権以外に抵当権が設定されていないこと
なお、この制度を利用すれば、金融機関などが住宅に設定した抵当権に基づいて担保権の実行手続(競売)が開始されている場合でも、その手続を中止することができます。