自宅を親戚に売却して住み続けることはできるのでしょうか?
自宅を親戚に売却して住み続けることはできるのでしょうか。
次のような事例を考えてみましょう。
住宅ローンの返済がきつい状況なのですが、住み慣れた自宅を離れたくありません。
そこで裕福な親戚に自宅を売却して、貸してもらえないかと考えています。
どうすればうまく話を進めることができるでしょうか。
親戚に買い取ってもらって住み続けるには?
親戚・金融機関双方にメリットのある条件を提示することが必要になります。
住宅ローンの返済に窮した場合に抵当権を実行されて競売にかけられるのを待つのではなく、買受人を見つけ、売買契約を締結するという、通常の不動産売買と同じような方法で売却することを任意売却と言います。
任意売却をうまく利用することで、自宅に住み続ける方法があります。
相談者が考えているように、親戚や知人などに任意売却で住宅を購入してもらう方法です。
その上で、住宅の所有者となった親戚などから、住宅を借り受けます。
つまり、自宅を売り払う代わりに、新しい所有者に賃料を支払うことで、これまで通り住み続けることしたら、買受人を探す手間も省けます。
ただ、ほとんどの銀行では、親戚間による住宅の売買で住宅ローンを認めてはいませんから、親戚などに自宅を一括で購入するだけの金銭がなければなりません。
相談者の場合には、裕福な親戚ということですから、この点は問題なさそうです。
ただ、仮に親戚に金銭的な余裕があったとしても、わざわざ、そのような大金をはたいて、任意売却に協力してくれるか、という疑問があります。
裕福だから、親戚だから、という理由だけで協力してもらうのは難しいでしょう。
そこで、その親戚に、任意売却をすることによってメリットがあることを示す必要があります。
たとえば、親戚に2000万円で自宅を購入してもらいます。
その上で月々の家賃を、10万円にしてもらいます。
親戚には年間120万円の家賃収入が入ることになります。
2000万円を預金したと考えてみると利回りは年6%になります。
銀行預金に比べれば、かなりの高金利といえます。
このように、親戚に買い受けてもらう場合には、いくらで買い受けてもらうか、いくらで借りるのか、を考えておく必要があります。
銀行との交渉が必要
次に、債権者である金融機関との話の進め方ですが、抵当権を抹消してもらわなければ意味がありません。
住宅ローンの残額に見合った額で親戚に買い受けてもらう場合には問題ありませんが、それ以下の場合には、金融機関との交渉が必要になります。
一般には、任意売却のほうが競売をするより利益が得られるので、金融機関も納得する可能性が高いのですが、提示した売却額では納得しない可能性もあります。
この場合、金融機関が競売の申立てをするまで待って、親戚に入札してもらう方法も検討するとよいでしょう。