個人民事再生の手続の流れは?申立て後、再生計画案を提出し、認可を受けるまでの手続の詳細はどうなるのでしょうか?
手続開始の申立てで始まる
個人民事再生手続は、再生手続開始の申立てによってはじまり、再生計画の認可決定が確定することによって終わります(その後、弁済ができなくなった場合などには一定の手続きをとる必要があります)。
通常の民事再生手続と比較して、債権調査や債権確定手続、債権者の意見を反映させる制度、手続に関与する期間などの面で、簡略化されています。
個人民事再生手続開始の申立てをすることができるのは債務者だけです。
再生手続開始の決定がなされれば、強制執行や仮差押え・仮処分、再生債権(民事再生手続きがはじまる前に生じていた権利のこと)を被担保債権とする留置権(被担保債権の弁済があるまで目的物を留置しておくことができるという担保物権のこと)に基づく競売手続きを行うことはできません。
もし強制執行などの手続がなされていれば中止されます。
裁判所は、手続開始の決定と同時に、「債権届出期間」と「再生債権に対する一般異議申述期間」を定め、これらを官報に掲載(公告)するとともに、申立ての際に裁判所に知らされている債権者に対して再生手続が開始されたことを記載した書面を「債権者一覧表」と一緒に送付します。
債権調査手続はどうする?
債権者は、送られてきた債権者一覧表に記載されている自分の債権の内容に異存がなければ、あらためて債権届出をする必要はありません。
債権者一覧表に記載されていない債権がある場合や、記載されている債権の内容(債権額など)に異存のある債権者は、債権届出期間内に裁判所に対して債権の届出をしたり、異議を述べたりすることができます。
異議の申述があった場合は、債権の評価制度(裁判所が個人再生委員の意見を受けて、債権の額などを評価すること)という手続によって、債権の存否および額、または担保不足額などが確定されることになります。
再生計画案の作成
再生計画案は債務者(または代理人)が作成して、裁判所の定める期間内に裁判所に提出しなければなりません。
なお、個人再生委員(申立人の財産の調査や再生計画の作成についての助言を行う人)が選任されている場合は、適正な再生計画案を作成するように再生委員から勧告を受けることもあります。
小規模個人再生の場合は、再生計画案について債権者の書面による決議を受けます。
給与所得者等再生の場合は、再生計画案が債権者の決議に付されることはありませんが、裁判所は債権者の意見を聴くことがあります。
再生手続の終結
小規模個人再生の場合は、再生計画案が債権者によって可決されたとき、給与所得者等再生の場合は債権者の意見聴取期間が経過したときに、裁判所は不認可事由がなければ認可決定を行います。
この認可決定が確定すれば、手続は終結します。
認可決定が確定した後は、ハードシップ免責や再生計画の取消などの特別の場合を除いて、裁判所は関与しません。
また、個人再生委員が選任されている場合も、再生委員は再生計画の遂行について関与することはありません。