クレジットで購入した車を売ったら破産で免責されるでしょうか?
クレジットで購入した車を売ったら破産で免責されるでしょうか?
次のような事例を考えてみましょう。
私は自動車が好きで、いろいろな車種に乗りたいため、よく買替えをします。
しかし、6か月ほど前に会社を解雇されてから、生活に困るようになり消費者金融で借金をするようになりました。
高い利息に苦しめられているので、クレジットローンで購入した自動車を友人に売って現金を手に入れようと思っています。
自己破産も考えていますが、ローンで買った自動車を売却しても、免責は受けられるのでしょうか。
勝手に売却しない
クレジットローンで商品を購人すると、その代金はクレジット会社から売主に対して一括して支払われます。
そして、支払った代金については、クレジット会社が立替手数料を含めて分割で買主に請求します。
商品の所有権は誰にあるのかというと、クレジット会社にあるのが原則です。
ローンを完済した時点で、買主に所有権が移転することになるのです。
このように、売買が成立しても、ローンが完済するまで所有権は移転しない売買を「所有権留保売買」といいます。
ローンを組んでも途中で買主が支払不能になる可能性があるので、所有権は留保しておくのです。
特に自動車のローンでは、車検証に使用者が買主で所有者はクレジット会社、などと記載されていることがよくあります。
クレジットローンのこのようなしくみから、もし、買主が分割払いを怠ったり、破産手続が始まるようなことがあったら、所有権に基づいて自動車などの商品を引き上げることになります。
それによって、ローンの債権を確保するのです。
そこで、買主が勝手に商品を売却したりすることは、契約違反となる危険性が多分にあります。
免責を受けられなくなるおそれもあるので、注意してください。
免責不許可事由の例
(1)申立人が債権者の利益を直接害した場合
破産者が財産を隠したり、その財産的価値を減少させたような場合や、返済不可能状態であるにもかかわらず、その状態でないかのように債権者を信用させて、さらに金銭を借り入れたような場合など
(2)手続きの円滑な進行を妨げたり、間接的に債権者の利益を害した場合、説明義務を尽くさなかったような場合
ウソの事実を記載した債権者一覧表を裁判所に提出したり、財産状態を偽って陳述したような場合など
(3)特定の債権者に特別の利益を与えるために担保を提供したり、弁済期前に弁済した場合
(4) 浪費・ギャンブルなどによって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担した場合
(5)免責の申立の前7年以内に、免責を得ていた場合
(6)その他破産法で定める義務に違反したこと
※免責不許可事由があっても、裁判官の裁量により免責決定がなされる場合もあります。