破産すると給料を差し押えられることもあるのでしょうか?
次のような事例を考えてみましょう。
私は商社に勤めている会社員です。
趣味にかかるお金のために一時的なつなぎとして消費者金融に手を出したのですが、会社の業績悪化からボーナスが一律カットされてしまいました。
高利のため雪だるま式に債務額が増えて、とうとう返済のメドも立たなくなりました。
この際思い切って、自己破産をしようと思っていますが、業者は私の勤務先も知っているので、給料を差し押えられるのではないかと心配しています。
破産後の生活もあるのでどうしたらよいでしょうか。
自己破産をしようとする者にとって、一番心配なのは手続が終了した後の生活でしょう。破産手続では、債務者の目ぼしい財産はすべて換価されて債権者に配当されてしまいます。
一般に債権者は、債務者の支払いが滞ると、その財産を差し押えます。
差押は、その財産を債務者が自由に処分することを禁止し、債権を満足させるための準備手続です。
破産手続開始を申し立てる債務者の財産が、差し押さえられているというケースはよくあることです。
破産手続開始の決定があると、それまでの差押手続は停止し、新たな差押もできなくなります。
そして、免責が決定すると、中止していた差押の効力は消滅します。
このように、破産手続開始の決定後に、債権者が債務者の給料の差押をすることはできません。
ですから、この点は心配せずに申立ての準備を始めてください。
債権者が会社に直接、取立てに行くこともできません。
また、免責が決定された後に働いて得た給料債権については、それまでの債権者が差押をすることはできないので安心して下さい。
それでは、倒産後の家族の財産はどうなるのでしょうか。
会社の倒産と、経営者の財産や家族の財産とは、基本的には関係ありません。
ただ、中小企業の場合、経営者は会社の債務について連帯保証していることが多いでしょうから、事業主の財産も差押えを受けるなどの影響を受けることは確かです。
通常、生活必需品を除いた財産は換価処分の対象になりますが、いったん値がつけられたとしても債務者以外の家族や親戚などの身内の名前で買い戻して、それを借りるという形で使い続けることはできます。
しかし、財産を失いたくないからといって、倒産間際になってあわてて親類や知人などに財産名義を移して財産を隠した上で破産手続開始決定を受けると、詐欺破産罪という犯罪になりますから注意が必要です。