自己破産すると手元にお金を残せないのでしょうか?
次のような事例を考えてみましょう。
長年続けてきた事業に失敗したので自己破産しようと思っています。
不動産のような目ぼしい財産はあまりありませんが、銀行や郵便局にいくつかの預金口座があります。
特に、事業のメインバンクとなっていた都市銀行にはある程度の預金があります。
自己破産すると、これらの預金はどうなるのでしょうか。
また、子供の将来のために積み立ててきた子供名義の預金はどうなるのでしょうか。
個々のケースで異なりますが原則として預金は管財の対象になり得ます。
まず、破産手続開始の申立てがあると、その後の手続は大きく2つに分けられます。
それなりの財産があると、それを換価して債権者に公平に配当しなければならないので、裁判所が選任する破産管財人が財産を管理・処分します。
これを「破産管財事件」といいます。
また、財産らしいものがないと管財人の選任もなく、そのまま免責の手続に入ります。
これを「同時廃止事件」といいます。
同時廃止事件では、預金はそのままです。
しかし、破産管財事件では預金は現金化されて、債権者に配当されます。
もし、預金口座のある金融機関が債権者の中にいる場合には、そのまま債務と預金債権が相殺されることになります。
いずれにしても、債務者(破産者)の手元には残りません。
子供名義の預金ですが、破産者以外の名義の預金は、原則として、管財の対象にはなりません。
ただ、実際に預金していたのが債務者であれば、管財の対象となります。
原則はこのとおりですが、債務者の手元に一切の現金も残さないのでは、その後の生活が成り立ちません。
そのため、当座の生活資金として、いくばくかの現金を債務者の手元に残すことが認められています。
これを「自由財産」といいます。
自由財産は現在では99万円にまで引き上げられました。