債務額が小さくても破産ができますか?
債務額が小さくても自己破産ができるでしょうか。
例えば、次のような事例を考えてみましょう。
私は現在、無職です。しかし、消費者金融の利息に悩まされて、いつの間にか借金が100万円を超えてしまいました。なかなか、よいアルバイトも見つからず、日々の暮らしにも困っているので、破産手続開始の申立てをしたいのですが、100万円程度の債務額で破産できるのでしょうか。
支払不能と判断されれば破産できる
破産は、債務が多額に上ったために支払不能になってしまった債務者のやり直しを図る制度です。
裁判所が介入して、プラスの財産とマイナスの債務をすべて計算して、財産があれば債権者に配当し、最終的には債務者の支払義務を免除します。
ただし、破産制度は最終的な手段です。
裁判所が、債務者にまだ支払能力があると判断すれば、破産できません。
問題は、どの程度の債務があれば、支払不能と判断されるかです。
判断基準は?
支払不能とは、その債務者がもてる支払能力のすべてを使っても、総債権者に対する債務の支払いができなくなった状態を意味します。
支払不能にあたるかどうかは一概に決めることはできません。
その債務者の置かれている状況と、債務総額の関係で個別に判断されます。
たとえば、債務額が多額でも、将来にわたって安定した高収入が見込めれば、支払不能にはなりません。
逆に、債務額が少なくても、収入が見込めず、病気を患っているとか、扶養家族がいる場合には、支払不能と判断される可能性が出てきます。
成人男子であれば、債務総額が300万円を超えていると、支払不能と認められる可能性があります。
ただし、債務額が100万円でも、生活保護受給者であれば自己破産が認められることもあるでしょう。収入が見込めず病気を患っているような事情があればできることもあります。
支払不能の判断基準は、概ね以下です。
- 債務総額が月々の収入の20倍を超える。
- 3年程度で返済することが不可能。
- 返済するには新たに高金利の債務を負担しなければならない。
- 全財産を売却し返済に充てても返済できない。
- 債権者との交渉で返済方法を緩和してもらっても返済できない
なお、支払不能かどうかを判定するのは裁判所で、支払不能になるかどうかはケース・バイ・ケースで判定されます。
破産の可能性について良く分からない場合は、早めに弁護士にご相談されるとよいでしょう。