地域経済活性化支援機構(REVIC)
地域経済活性化支援機構(REVIC)とは、地域経済の再建を図るため、有用な経営資源を有しながら、過大な債務を負っている事業者の事業再生を支援することを目的に、株式会社企業再生支援機構法に基づいて設立された会社です。
私的整理手続のうち、根拠法令に基づき制度化され、公正中立な第三者が関与して行われる手続のことを「準則型私的整理手続」といいます。
準則型私的整理手続の種類は、以下になります。
- 事業再生ADR手続
- 中小企業再生支援協議会による再生支援スキーム
- REVIC(地域経済活性化支援機構)による再生支援スキーム
- 私的整理ガイドライン
- 特定調停等
この記事では、地域経済活性化支援機構(REVIC)による再生支援スキームについて、説明します。
この記事で書かれている要点(目次)
1.地域経済活性化支援機構(REVIC)とは
地域経済活性化支援機構(REVIC)とは、地域経済の再建を図るため、有用な経営資源を有しながら、過大な債務を負っている事業者の事業再生を支援することを目的に、株式会社企業再生支援機構法に基づいて設立された会社です。
地域経済活性化支援機構では、債権者であるメインバンク等からの相談を受け、中小企業の事業再生計画支援や関係者の調整を行い、合意を得て支援の申込みに対する審査をし、要件を充たす場合には、各債権者への債権放棄要請や債権買取り等を含む支援の決定を行います。
地域経済活性化支援機構における事業再生支援の期間は5年までとされています。
また、地域経済活性化支援機構では、事業再生支援業務のほか、民間事業者と共同してのファンド運営、地域金融機関等に対する専門家の派遣、金融機関の事業再生子会社への出融資、非メインの金融機関等が有する貸付債権の信託の引受などの業務も行っています。
但し、地域経済活性化支援機構の事業再生事業は、年商数十億円単位の企業の利用が中心です。
2.支援対象となり得る事業者
- 事業規模
大規模な事業者(注1)を除く全ての事業者が支援対象になります。 - 業種
全ての業種が対象となります。製造業、小売業、サービス業、建設業、運輸業等の各業種に加え、病院、学校等も支援対象になります。 - 地域
全ての地域が対象となります。地方圏に限らず、東京や大阪等の都市圏の企業も支援対象になります。 - 会社形態
株式会社だけでなく、持分会社、個人事業主、非営利法人も支援対象になります。また、社団法人、財団法人のような公益法人のほか、医療法人、社会福祉法人、学校法人等も広く支援対象になります。
(注1)大規模な事業者
資本金の額又は出資の総額が5億円を超え、かつ、常時使用する従業員の数が1千人を超える大規模な事業者は、原則として支援対象から除外されます。ただし、下記※に記載の主務大臣が認める事業者については、支援対象となり得ます。
※再生支援による事業の再生が図られなければ、当該事業者の業務のみならず地域における総合的な経済活動に著しい障害が生じ、地域経済の再建、地域の信用秩序の維持又は雇用の状況に甚大な影響を及ぼすおそれがあると主務大臣が認める事業者。
3.再生支援の決定基準
- 有用な経営資源を有していること。
- 過大な債務を負っていること。
- 例えば、主要債権者との連名による申込みであること等、申込みに当たり事業再生の見込みがあると認められること。
- 再生支援決定から5年以内に「生産性向上基準」(注1)及び「財務健全化基準」(注2)を満たすこと。
- 機構が債権買取り、資金の貸付け、債務の保証又は出資を行う場合、支援決定から5年以内に申込事業者に係る債権又は株式等の処分が可能となる蓋然性が高いと見込まれること。
- 機構が出資を行う場合、必要不可欠性、出資比率に応じたガバナンスの発揮、スポンサー等の協調投資等の見込み、回収の見込み等を満たすこと。
- 労働組合等と話し合いを行うこと。
(注1) 「生産性向上基準」: 以下のいずれかを満たすことが必要。
- 自己資本当期純利益率が2%ポイント以上向上
- 有形固定資産回転率が5%以上向上
- 従業員1人当たり付加価値額が6%以上向上
- 上記に相当する生産性の向上を示す他の指標の改善
(注2) 「財務健全化基準」: 以下のいずれも満たすことが必要。 - 有利子負債(資本性借入金がある場合は当該借入金を控除)のキャッシュフローに対する比率が10倍以内(キャッシュフロー=留保利益+減価償却費+引当金増減)
- 経常収入が経常支出を上回ること
4.手続きの流れ
地域経済活性化支援機構(REVIC)の手続きの流れは、以下です。
①初期検討
- メインの金融機関等・事業者からの事前の相談
- メインの金融機関等と事業者にて機構への本格相談を協議
- 事業者との面談、意思確認
②事前検討(プレデューディリジェンス)
- 事業者からの開示資料に基づき、機構にて簡易分析
- 関係者にて再生ストラクチャーの方向性確認
③資産等の査定(デューディリジェンス)・関係者調整・事業再生計画策定
- アドバイザー選定
- 資産等の査定(デューディリジェンス)の実施
- 事業再生計画の策定支援
- 関係者合意
- 再生支援決定
④再生支援申込み
⑤再生支援決定
⑥関係金融機関等との調整
- 回収停止要請・再生計画提示
- 事業再生計画への同意
⑦買取決定等、出資決定
⑧モニタリング・ターンアラウンド
⑨債権等の処分(支援完了)